Vol.73 May/Jun. 2022

01_Vol.73_Hyoushi号外特別企画◎追悼・安倍晋三元内閣総理大臣
          「安倍外交」を自ら語る

選挙応援演説中の安倍元総理の不慮の死は、世界に大きな衝撃を与えました。本誌では2013年からの第2次安倍政権7年8ヵ月の「安倍外交」を、田中明彦編集委員長(当時、現JICA理事長)を聞き手にインタビューを行い、4号にわたって掲載いたしました。
追悼企画として、ここに再公開いたします。安倍氏自身が当事者として自らの外交を語る、貴重な資料となりました。
安倍晋三元総理のご逝去を悼み、ご冥福をお祈りいたします。(編集部)
上・日本復活の礎となった日米同盟再強化(『外交』64号掲載)
中・「自由で開かれたインド太平洋」にみる戦略的思考(『外交』65号掲載)
下・トランプ大統領を国際協調につなぎとめた直談判(『外交』66号掲載)
完・官邸外交を支えた組織・人・言葉(『外交』67号掲載)

特集◎「瀬戸際」に直面する世界

「戦後」秩序 再構築の条件
-連動するNATO=インド太平洋秩序への戦略
「プーチンの戦争」で傷ついた第2次世界大戦後の国際秩序を、どう再生させるか。
今こそ新しい「戦後」秩序を構想すべき時であろう。NATOと「自由で開かれたインド太平洋」が連動した安全保障枠組みと、実効性のたかい軍縮・軍備管理のプラットフォームの構築に向けて、日本外交の主体性と創造力を問う。
岩間陽子(政策研究大学院大学)

 
核使用を防ぐために必要なこと-ロシア・ウクライナにおける「核の影」
ロシア政府がしばしば言及する核兵器使用の可能性。世界は、核抑止が本当に機能するかの瀬戸際にある。核の抑止/使用をめぐる基本的な考え方を整理しつつ、究極的には指導者の「決断」にかかる状況下で、米ロはどのような行動が求められるかを考察する。
髙橋杉雄(防衛研究所)

ゼレンスキーとは何者か-ウクライナ国内から見た政権運営の実相
国連や各国議会でのオンライン演説により広く支持を集め、動画を使って国民を鼓舞する。世界を驚かせた大統領は本当に「素人」なのか。その国内基盤から政権を固めるスタッフまで政権運営の実際を、ウクライナ国内から見据えて描く。
平野高志(ウクルインフォルム通信)

対談
「20世紀の戦争」に沈むロシア-戦略・用兵の失敗、長期化の苦悩
短期間でウクライナ主要都市を制圧する-ロシア軍の当初の目論見はなぜ失敗したのか。そして、なぜその後も戦況を転換できないのか。戦争の長期化でロシアが直面する困難と、NATO北欧2ヵ国加盟申請をはじめ、西側の変化の意味を読み解く。
鈴木一人(東京大学)
山添博史(防衛研究所)

ロシア軍の東方攻勢は「作戦第2段階」へ-ウクライナ軍は最新技術を駆使して攻勢に
伊藤嘉彦(拓殖大学)

集団防衛に回帰するNATO
対ロ融和政策をとってきた欧州。しかし今回の侵攻で対応は一転。ウクライナに対する「攻撃的」武器の供与、ドイツ以東への部隊「配備」、そして拒否的抑止の展開と、ロシアとの対決姿勢に大きく舵を切った。そこには、従来の抑止体制が機能しないという危機感がある。
広瀬佳一(防衛大学校)

デジタル国家ウクライナの強靭性-サイバー・セキュリティ欧州最前線からの報告
揺るがないウクライナの「情報戦」における優位。それを支える強靭な分散型システムを作った先進IT国家エストニアは、EUのDX化の中心で、NATOサイバー防衛協力センターも配置される。最新の動きは、懸念は何か。現地から報告する。
河野桂子(防衛研究所)

「情報戦は地政学」ロシアの偽情報戦略を解く
ネットニュースや動画を使ったサイバー戦は一般人を巻き込み、時には「駒」にする危険を孕む。ロシアは情報空間を「地政学」と見ており、ウクライナは世界に共感を呼ぶメッセージに腐心する。かつてない展開の「情報戦」。どうなっているのか。
長迫智子(笹川平和財団)

世界で分断深まる世界経済リスク
経済制裁で大打撃を受けるロシア経済。だが制裁による輸入減は貿易黒字を生み、ルーブルの安定と制裁効果の緩和につながった。一方で制裁による資源高は新興諸国経済を苦しめ、先進国と新興国との分断が顕在化している。
木内登英(野村総合研究所)

戦後最大の人道危機-難民支援の最前線
ロシアの軍事侵攻によって周辺国に逃れたウクライナ難民と国内避難民は計1300万人を超える。第2次世界大戦以降、最大の人道危機に直面する国際社会は、未曽有の難民問題に対処できているのか。
中坪央暁(難民を助ける会)

国連総会がロシアに放った「三本の矢」-「国際世論」の実像と国連改革の可能性
常任理事国ロシアの拒否権に対して、国連は非難決議や人権理事国資格停止など精一杯の策を講じ、人道支援も行っている。国や地域の温度差もあるなか、国連はイニシアチブをどう取るべきか。国連本部の動きを追った。
藤原学思(朝日新聞)

欧米以外の「国際社会」の声を聴く-多様性の背後にある歴史経験
日々大量に流れるウクライナの報道だが、ソースをたどると、欧米メディアからの発信が圧倒的だ。しかし、そこではすくい上げられない「国際世論」が数多くある。G7とは異なる国々が抱く多様な見解を、それが生まれる歴史的背景から読み解く。
羽田 正(東京大学)

ウクライナ侵攻 世界の視点① 湾岸産油国
中立を貫く中東諸国-イエメン紛争への支援停滞に不満高まる
国連安保理での対ロ非難決議を棄権したUAEをはじめ、原油のさらなる増産に消極的な湾岸産油国。その背景には、イエメンのフーシー派テロ組織による攻撃などの「中東の戦争」には関心の薄いアメリカへの不満がある。
村上拓哉(中東戦略研究所)

ウクライナ侵攻 世界の視点② ブラジル
「大国外交」への転換がはらむ路線対立
ロシアの軍事侵攻直前にモスクワを訪問したボルソナーロ大統領。そこには、基幹産業である農業の振興に不可欠な肥料の調達という経済要因に加え、ブラジル伝統の中立外交を転換し、「大国外交」を志向する政治的思惑が見てとれる。
岡田 玄(朝日新聞)

ウクライナ侵攻 世界の視点③南アフリカ
政権与党に食い込むロシアマネー
国連での対ロ非難決議に棄権票を投じた南アフリカ。アパルトヘイト時代の闘争を支援したソ連時代からの歴史的関係に加え、近年は鉱業・エネルギー部門を中心に経済関係を強めておりアフリカ民族会議はロシアを批判しづらい状況にある。
牧野久美子(アジア経済研究所)

ウクライナ侵攻 世界の視点④ハンガリー
欧州の「親ロ派」オルバン政権の戦略
ウクライナへの軍事支援に消極的で、ロシア産の天然ガスと石油の輸入禁止にも反対を掲げる、ハンガリーのオルバン政権。「独自路線」は対ロ制裁の抜け穴となるのか。
山本 直(日本大学)

ウクライナ戦争は米中新冷戦をどう変えるか-自縄自縛の習近平外交と台湾情勢への含意
習近平国家主席が示したロシアに対する明確な支持表明。しかし予想を超えて戦況は泥沼化し、西側諸国は対ロ制裁で結束する。その結果、習近平外交は中国の選択肢を著しく狭めることとなった。米中「新冷戦」が加速するなか、ウクライナ侵攻が台湾海峡情勢に与える影響を考察する。
松田康博(東京大学)

侵攻を注視する北朝鮮-核廃棄と核開発で揺らいだ「安全の保証」
核廃棄の代わりに安全の「保証」を与える-だが米・ロ・英による「ブダペスト覚書」には安全が脅かされた際の「保障」がなかった。これが、プーチンの「NATO拡大の恐怖」の遠因であり、そして核放棄を一度約束した北朝鮮もこの「保障」にこだわる。
倉田秀也(防衛大学校)

インドネシア「両にらみ」のしたたかさ
-G20サミットに向けたウクライナ情勢への対応と国内政治
ジョコウィ政権は、G20議長国としての立場を、国内の政治基盤を強化するための好機と捉える。G7主導の「ロシア包囲網」に国内世論の拒否感が強いなか、米ロともに参加するサミットへの道筋を立てられるか。その成否は、今後のインドネシア政治のあり方をも左右する。
本名 純(立命館大学)

around the world

人為的な経済危機が引き起こしたスリランカの政変
荒井悦代(アジア経済研究所)

トレンド2022

マクロンとルペン それぞれの勝利-大統領選にみるフランス政界再編の構図
マクロン氏が圧勝した大統領選挙。しかし注目すべきは、棄権票の多さと、ルペン氏率いる国民連合の着実な支持拡大であろう。エリート大統領再選の背後に見える、老舗政党の没落と左右両極の勃興。フランス政治は地殻変動を起こしつつある。
渡邊啓貴(帝京大学)

支持された「マルコス黄金期」の幻想-フィリピン2022年大統領選挙を見る
新大統領のフェルディナント・マルコス氏は独裁者の父親のイメージを「書き換え」、SNSで拡散することで支持を集めた。新自由主義の労働に疲れた国民の選択はフィリピン国内政治と外交をどう変えるか。
日下 渉(東京外国語大学)

◎連続企画 独立日本の70年

変容するアジアの国際秩序と日本外交(下)
冷戦終結後の試練
自由民主主義の勝利という冷戦終結後のユーフォリアは長く続かなかった。「地理と歴史」にまつわる紛争が復活し、新たな不安定要因として中国が台頭する。第2次大戦後の秩序が挑戦を受ける時代に、日本外交は何を考え、どのように行動してきたか。
五百旗頭真(兵庫県立大学)

建設的かつ安定的な日中関係は築けるか
日中関係からは近年、20世紀にはあった関係改善への復元力が失われてしまっている。中華人民共和国建国以来73年、国交正常化から50年の日中の関係史を振り返って考える。
杉浦康之(防衛研究所)

連載

駐日大使は語る③
TICAD8でさらに深まる日・チュニジア関係
駐日大使は、各国の正式代表として日本に常駐する唯一の存在。大使の目に、日本外交はどう映るのか。8月に行われるTICAD8のホスト国チュニジアのエルーミ大使に聞く。
駐日チュニジア共和国大使 モハメッド・エルーミ

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評者:
阿部亮子(同志社大学)

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