Vol.50, Jul. / Aug. 2018

Vol.50_hyoushi巻頭インタビュー                                  English
「対応」から「予防」へ 
国連が挑む新しい防災枠組

水鳥真美(国連国際防災戦略事務局ヘッド)

特別企画◎米朝首脳会談と非核化への展望
共同声明から読む非核化・平和体制のゆくえ
非核化が先か、平和構築プロセスが先か。
米朝首脳会談共同声明を読み解き、プロセスの意味づけや根拠を画然する。
西野純也(慶應義塾大学) 

   
                                                                  
米朝交渉は早くも重大な岐路に-トランプ外交の危うさと北東アジア秩序のゆくえ
トランプの自画自賛とは裏腹に、米朝首脳会談の勝者は金正恩であった。米朝交渉の行方
は、北東アジアの秩序を大きく左右する重大な局面を迎えている。トランプの目前にある陥穽の深淵を覗く。
スー・ミー・テリー(CSIS)

非核化・軍備管理から見た米朝会談―北東アジア情勢へのインパクト
大きな岐路に立つ北朝鮮の非核化問題。米朝交渉は対話による解決を可能にするのか。NPT、CTBTに北朝鮮を組み込めるのか。
さまざまなシミュレーションから北朝鮮非核化と北東アジア情勢を分析する。
佐藤丙午(拓殖大学)

資料:米朝首脳会談共同声明

韓国は米朝会談をどう見たか―文大統領「悲願実現」と薄氷踏む南北関係
政権公約の南北関係進展を、北朝鮮の平和攻勢も相まって実現させることに成功した文大統領。だが、その高い支持率の足元には、複雑な国民感情が入り組んでいる。
中島健太郎(読売新聞)

中国は米朝会談をどう見たか―米朝接近で「血盟神話」に回帰する中国
北朝鮮は米国にどこまで近づくのか。疑心暗鬼の中国は一転、北朝鮮の後ろ盾に。その理由は米国との貿易戦争の「間合い」にあった。北朝鮮をめぐっての米国との綱引きのゆくえは、なによりも非核化はどうなるのか。
永井央紀(日本経済新聞)

ロシアは米朝会談をどう見たか―プーチンと北朝鮮の微妙な関係
米朝首脳会談を評価し、非核化に向け協力を惜しまない姿勢を見せたロシア。しかし、プーチン大統領自身は関心薄の気配だ。
ロシア政治・経済界の深部を取材し、その「本気度」を探る。
大前仁(毎日新聞)

特集◎誰が国際経済秩序を担うのか

日本は自由貿易の擁護者たれ
国際経済秩序の擁護者・G7は指導力を発揮できず、一方、中国が新たな枠組みを提供できるわけではない。
リーダー不在の今こそ、日本は開放的な国際経済秩序の維持に全力をあげるべきだ。
田所昌幸(慶應義塾大学)

揺らぐG7 試される安倍外交
G7体制に真っ向から疑問を呈するトランプ大統領が「ノー」を突きつけた、波乱のシャルルボワ・サミット。
その「密室」で何が行われていたのか。揺らぐG7の枠組みは果たして維持できるか。
池田慶太(読売新聞)

資料:G7シャルルボワ・サミット首脳コミュニケ(骨子)

メガFTA―自由で公正な貿易・投資を世界へ
「グローバル疲れ」の反映なのか、世界で自由貿易体制への疑念が呈されている。だが解決策は、自由貿易の中にこそある。
わが国はその信念のもとTPP、日EU・EPA、RCEPなどメガFTAを進めていく。
山野内勘二(外務省)

トランプ流発想法「ディールは素早く、詰めは後」
トランプ大統領は経済と国防の「国益のレンズ」で世界を見ている。貿易交渉は「ラスト・ベルト」の背景を理解し、「ニューヨーク時間」での交渉が要諦である。
アド・マチダ(ナビゲーターズ・グローバル)

トランプ関税と同盟国の動揺
トランプ大統領が仕掛けた「貿易戦争」に、世界各国は慌てて対処に動いている。理由は何か、目的は何か、そして何が「勝利のポイント」なのか。「戦争終結後」を見据えた展望も必要になる。
ブルース・ハーシュ(元米国通商代表補)

中国型発展モデルの普遍性
トランプ政権の「Gゼロ」的動きに対し、「自由貿易の守護者」の自認が際立つ中国。
その融通無碍な「発展モデル」は、既存の国際レジームへの挑戦でもあることを、念頭におくべきである。
大橋英夫(専修大学)

トレンド2018

上海協力機構への過大評価
青島宣言で保護主義反対を高らかに宣言した上海協力機構。だが、その実態はいかに。
債務返済が困難になった国々が、中国の「一帯一路」に呑み込まれようとしている。
三船恵美(駒澤大学)

ASEAN・中国「蜜月」の理由―南シナ海領有権をめぐる仲裁判決から二年
中国の主張を退けた二〇一六年仲裁判決。だが、ASEAN諸国の中国への融和的態度は仲裁判決の実効性を失わせている。
中国と関係国は「法的拘束力を伴う行動規範」を締結可能か。各国の「事情」を踏まえ考える。
福田保(東洋英和女学院大学)

迷走するメイ政権が示すブレグジットの困難性
EU離脱交渉のあり方をめぐる対立で、外相と離脱問題担当相が辞任したイギリス。開かれた国際秩序であるEUに対するポピュリズム的反発の中で交渉を妥結できるか。イギリスの苦悩は続く。
池本大輔(明治学院大学)

マクロンの支持率はW杯優勝にあやかれるか——就任二年目のリーダーシップを見る
就任早々、軍事費削減で軍と鋭く対立した新大統領。その「権力志向」に人気は低迷を続ける。だが、改革の必要性は国民にも浸透し、メルケル独首相に代わる「EUの盟主」も視野に入る。W杯優勝は支持拡大となるか。
山口昌子(ジャーナリスト)

米国の圧力に対峙するベネズエラ政権―モンロー宣言二〇〇周年前に緊張高まる
今年五月に再選されたマドゥーロ大統領。「独裁政権」との非難も浴びるが、その内実は、わからないことも多い。
米国とラテンアメリカの歴史的関係も踏まえて、ベネズエラ政治への一視座を示す。
伊高浩昭(ジャーナリスト)

国際社会に「法の支配」を貫徹させたい——国際司法裁判所裁判官としての挑戦
国際司法裁判所(ICJ)裁判官に当選、八月に着任する岩沢雄司氏。国際法の複雑な訴訟手続きやこれまでの判例の蓄積を踏まえ、ICJの現状と新たな課題を語る。
岩沢雄司(国際司法裁判所)

『外交青書』を読む
日本外交の記録として一九五七年から毎年刊行されている『外交青書』。本年版の読みどころを紹介するとともに、これまでの蓄積を踏まえた青書の使い方、楽しみ方を伝える。
川埜周(外務省)

追悼・大河原良雄元駐米大使 冷静沈着、公平無私の人
波多野敬雄(元国連大使)

追悼・金鍾泌韓国元首相 日韓政界で見せた「潤い」ある魅力
小針進(静岡県立大学)

連載

ゴルゴ13が教える海外安全対策

数字が語る世界経済
伊藤信悟(国際経済研究所)

アラウンド・ザ・ワールド

深刻化する難民問題問われる国際社会の対応
守屋由紀(UNHCR)

外交最前線6
国内中小企業との連携による途上国開発の推進——ODAを活用した中小企業の海外展開支援
もっと、日本の中小企業がもつ技術を途上国の開発支援に活用できないか。中小企業と途上国開発とのマッチングに力を入れるJICAの取り組みをご紹介する。
斉藤幹也(国際協力機構)

キャリアの話を聞こう
寺中純子(海外投融資情報財団)

ブックレビュー
板橋拓己(成蹊大学)

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