Vol.43 May/Jun. 2017(完売)

gaikoVol43巻頭インタビュー                                 English
◎国連事務次長として軍縮に取り組む
中満泉(国連事務次長、軍縮担当上級代表)

特集◎世界経済の変動と日本

選択的グローバリズムの時代
「モノ」「カネ」「人」が同時に国境を超えるEU型の経済統合が試練を受けている。
しかしそれは、グローバリズムの反転ではなく、望ましいグローバリズムとは何かを問い直す機会と捉えるべきだろう。
伊藤元重(学習院大学)

鼎談:多層的自由貿易圏の時代へ
   -交錯するグローバル/地域/二国間枠組みへの戦略

日米2国間の経済対話が始まり、TPPとRCEPというメガFTA構想が併存するなか、日本が自由貿易にどう取り組むか世界が注目している。グローバルなWTO秩序も念頭に入れながら、日本は国際的な貿易・投資のルール作りに、いかなる貢献ができるか。
浦田秀次郎(早稲田大学)
大橋英夫(専修大学)
薗浦健太郎(外務副大臣)

日米経済関係のリスタート
   -ハイレベル対話の射程と効能

麻生副総理とペンス副大統領のもとで始まった日米経済対話。二国間交渉と聞けば、日米構造協議の苦い記憶が浮かび上がるが—。アジア太平洋の動きもにらんだ複雑な連立方程式にどう取り組むか。
山野内勘二(外務省)

資料:麻生日本国副総理とペンス米国副大統領による日米経済対話に関する共同プレス・リリース

米国 多国間アプローチ復活の条件-カギはNAFTA再交渉の成果
通商交渉で2国間を重視するトランプ大統領。この姿勢が変わることはないのか。
米通商代表部でTPP交渉などをリードしてきた筆者が読みとく。
ウェンディ・カトラー(アジア社会政策研究所)

中国の経済改革を促したグローバル化と国際経済秩序
   -改革開放から「トランプ後」まで

経済体制のレジームチェンジ。それが中国のWTO加盟でもたらされた果実。
中国経済が急成長を遂げた一方、国内政治・経済の改革が頭打ちの今、さらなるレジームチェンジの方向性はいかに。
徳地立人(日本再建イニシアティブ)

ASEANはRCEPで結束できるか
トランプ政権のTPP離脱で世界は保護主義に傾いていくのか?
経済統合の深化なくして繁栄のないASEAN諸国のあり方を確認し、新たなメガFTAなどの枠組みを探る。
木村福成(慶應義塾大学)

◎around the world

林鄭月娥・香港次期行政長官は北京と市民の調和を図れるか
倉田徹(立教大学)

政治経済危機に直面するベネズエラ・マドゥロ政権
坂口安紀 (ジェトロ・アジア経済研究所)

◎特別企画
春香クリスティーンのふたつの大統領選挙を歩いて
-韓国・フランスで見た、分断とポピュリズムの現実
春香クリスティーン

◎トレンド2017

「文在寅の韓国」はどこへ行くのか-韓国大統領選から見える内政・外交の課題
朴政権のスキャンダルに嫌気した国民の選択。だが文在寅氏が当選した理由はそれだけではない。
浮かんでは消えた候補者たちの背景を探り、南北問題や日韓関係の今後を見通す。
箱田哲也(朝日新聞)

北朝鮮問題に「外交戦」の兆し
核実験の可能性をちらつかせ、ミサイル発射実験で国際社会への挑発を続ける北朝鮮。
トランプ政権は軍事行動をちらつかせながら、中国を引き込んで硬軟合わせての抑止策に出ている。
その実効性を測り、日・韓の対応を考える。
李鍾元(早稲田大学)

化学兵器使用で混迷深まるシリア情勢
トランプ米政権がシリアに対して行ったミサイル攻撃は、アサド政権やロシアにとって「晴天の霹靂」だった。
シリア内戦の構図を変える転機となるか、各勢力や関係国のパワーバランスを観測しつつ、内戦終結への道のりを展望する。
出川展恒(NHK)

インタビュー:「クルド」と「クルディスタン」は明確に異なる
シリア情勢が流動化するなか、地域秩序再構築のカギを握るトルコ。関心の高まりとともに、日本で報道される機会も増えてきた。しかし一方で、「クルド」と「クルディスタン」の違いや、「ユーフラテスの盾」作戦の背景など繊細な問題に対して、トルコが抱える複雑な事情が十分に説明されていないことも多い。その問題点を駐日トルコ大使が語る。
A・ビュレント・メリチ(駐日トルコ共和国大使)

鼎談:日本の核テロ対策は万全か
本年6月1~2日に日本で初めて「核テロ対策国際会議」が開催される。
2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を一つの契機として、核テロ対策の重要性と今後の課題、核セキュリティ分野での日本の貢献のあり方を論ずる。
直井洋介(日本原子力研究開発機構核不拡散・核セキュリティ総合支援センター)
太田昌克(共同通信)
相川一俊(外務省)

国際保健外交の現状と日本の役割
健康に関する諸問題の解決力や貢献力が、その国の「外交力」として評価される。
伊勢志摩サミットでアジェンダセッティグされた「国際保健外交」は、いよいよ本格始動する。課題はなにか、日本のどう貢献すべきか。
武見敬三(衆議院議員)

「日本版アーミテージ・ナイ報告書」の射程
トランプ政権発足当初、これまでの経緯に囚われない外交スタイルに困惑が広がった。
しかし、東アジアの安定と繁栄のための公共財でもある日米同盟が揺らぐようなことは避けなければならないだろう。
日本外交に精通した識者が力を結集して、日米両政権に提言する。
田中明彦(政策研究大学院大学)

食の健康と飢餓の撲滅を世界に-FAOのミッションと日本の役割
国連食糧農業機関(FAO)は、飢餓の撲滅や持続可能な農業生産の定着への取り組みだけでなく、世界で流通する食品の品質基準を設定も司る。グラツィアーノFAO事務局長は、日本との関係をグローバルにもローカルにも深化させたいと語る。
ジョゼ・グラツィアーノ・ダ・シルバ(FAO)

◎FOCUS

ルペン善戦をもたらした「普遍化」戦略
マクロン氏が制したフランス大統領選。
そこから見える既存大政党からの国民の離反、ポピュリズム政党、国民戦線の浸透策を分析。今後のフランスのみならず、ヨーロッパのポピュリズムがどう展開するかを含め考える。
国末憲人(朝日新聞)

BREXIT「ソフト化」への攻防
メイ首相がEU離脱を通告する書簡を送ったことで、イギリスとEUは本格的な離脱交渉の段階に入る。
EUは英国をつなぎとめるウルトラCを繰り出すことができるのか。交渉のゆくえを占う。
庄司克宏(慶應義塾大学)

ポピュリズム政党と右翼政党-現代ヨーロッパ理解への新たなる補助線
「極右」のレッテル貼りから脱却せねば、ポピュリズム政党の本質は見えない。
右派、左派、リベラルは相対的な価値であり、「アンチ」というポジションがカギとなる。「ポピュリズム化する世界」を多軸的に見通す。
水島治郎(千葉大学)

◎連載

数字が語る世界経済
伊藤さゆり(ニッセイ基礎研究所)

キャリアの話を聞こう
天野之弥(国際原子力機関)

ブックレビュー
梶谷懐(神戸大学)