外交 vol.34

gaiko34cover-150特集
シルクロードは現代に甦るか
                    
新「グレートゲーム」時代の中央アジア
「交流路」の観点のみで中央アジアを見ると見間違う。歴史を踏まえて、ロシアと中国との深い関係を見据え、自立を目指す「グレートゲーム時代」のゆくえを占う。
宇山智彦(北海道大学)

中央アジア発展の国際的条件と日本
歴史的にはソ連・ロシアの影響を強く受け、近年は中国の経済進出がめざましい中央アジア。シルクロードの中心部をなすこの地域に、日本はどのような貢献ができるのか。安倍首相の訪問を踏まえ、展望する。
座談会◎河東哲夫(外交評論家)×隈部兼作(ロシア・ユーラシア政治経済ビジネス研究所)×青山瑠妙(早稲田大学)×相木俊宏(外務省)

資料:カザフスタンにおける安倍内閣総理大臣政策スピーチ

「一帯一路」で仕掛ける「中国の夢」への外交戦略 
政治、経済の分野で中央アジアにも影響力を広げつつある中国。大国として振る舞い、経済を安定化させるにはこの地域で経済的にも政治的にも密接なつながりを構築し、共に発展する道を選ぶ戦略が欠かせない。
三船恵美(駒澤大学)

中国経済圏構想を金融的側面から読む
シルクロード、南アジア、インド洋ルートから欧州、アフリカ大陸、南太平洋諸国へ経済圏の食指を伸ばそうとする中国。金融システムから分析すると、狙いは経済圏拡張のみならず、国内改革にもあることが伺える。
神宮健(野村総研)

米中「冷和」とアジアのインフラ需要
「価値観をめぐる競争」が米中間で始まっている。アメリカ民主主義の機能不全が、中国の自信を後押しする構図を変える鍵とは何か。
呉軍華(日本総研)

「中央アジア+日本」対話の試み

TREND2015

現代の紛争と日本の国際平和協力活動
国家間から地域間紛争に移行した現代のハイブリッド紛争。PKOが維持すべき「平和」とは何かが問われる中、新・安保法制はどのように国際安全保障活動に貢献できるか。
吉崎知典(防衛研究所)

資料:「平和安全保障法制」の主な内容

米中首脳会談は「新冷戦」の始まりか 
米イージス艦が決行した「航行の自由作戦」。中国の勃興を前に、覇権を失いつつあるアメリカは太平洋をどうコントロールしていくのか。両首脳の迫真のやりとりから読み解く。
及川正也(毎日新聞)

FOCUS
岐路に立つ日韓関係

「四強」から「G2」へ
近年日韓関係は悪化の一途をたどっている。これは両国のお互いに対する認識や、国際情勢に対する認識のすれ違いによるところがきわめて大きい。対話を進め、相互理解を深めるためにはこうした食い違う認識を一致させる必要があり、それにはお互いの真摯で絶え間ない努力が求められる。
西野純也(慶應義塾大学)

資料:1998年日韓共同宣言

日米同盟の「更新」と日韓関係
安倍政権発足以降、日米同盟が「更新」する中、日韓安保協力の条件とは何か。米中協調こそ朝鮮半島平和の条件とする朴槿恵の「局地的G2」論は、果たして今も顕在か。
倉田秀也(防衛大学校)

「六重苦」で閉塞感が強まる韓国経済
輸出型経済によって発展してきた韓国だが、国内では若者を中心に閉塞感が漂う。閉塞感の原因を分析し、分断国家としての韓国の苦悩を読み解く。
深川由起子(早稲田大学)

FOCUS
国連と日本

国連は「戦後」を越えられるか
冷戦時代の安保理から現代の国際テロや暴力的過激主義根戸への対応に至るまで、国連の70年は目的と手段のねじれの中にあった。その中で、いかに普遍的な価値を掲げ、実現していくべきか。
星野俊也(大阪大学)

「先進国の責任」求める新開発目標
国連はミレニアム開発目標(MDGs)に代わる今後の開発目標として、今年8月に持続可能な開発目標(SDGs)の最終文書を採択した。日本はSDGsに同コミットしていくべきか。国際政策であるとともに、国内政策として取り組む視座が問われている。
蟹江憲史(慶應義塾大学)

政治と平和構築のダイナミズム
国連「平和構築」70年の歩みとはなんだったのか。国連憲章に込められた精神とその政策的実現を追い、いま政治的変動に揺れる枠組みの再構築を考える。
篠田英朗(東京外国語大学)

連載

巻頭インタビュー
難民問題の解決は「暴力の連鎖」を断つこと

ハンス・カール・フォン・ヴェアテルン(駐日ドイツ大使)

マンガをみれば世界がわかる
西川恵

マーケットの眼
伊藤洋一

見出しで学ぶニュース英語
徳川家広

海風陸風
佐々木かをり(株式会社イー・ウーマン)

INFORMATION

外務省広報

ブックレビュー
板橋拓己(成蹊大学)

英文目次/読者の皆様へ/IN&OUT

「キャリアの話を聞こう」は今号休載いたします。


※「外交」Vol.34「『平和安全法制』の主要事項の関係」(P.74-76)に誤植がありました。
謹んでお詫びし、以下の通り訂正いたします。

P.74最下段(注)

誤 会場における治安活動
正 海上における治安活動

P.76法制の主な内容3

誤(存続危機事態)
正(存立危機事態)