外交 Vol. 33

gaiko33cover-150特集
積極的平和主義と安全保障構想
                    
平和のための軍事力を考える
安保法制に反対する世論が盛り上がるが、軍備をなくせば、平和になるのか。歴史と国際関係論から平和の源泉を探り、軍事技術の進歩や安全保障状況の変化を見据えて考える。
細谷雄一(慶応義塾大学)

日米防衛協力ガイドライン見直しの射程
日米安保の実質的な「骨格」をなすガイドライン。その歴史の検証は、安全保障関連法案の正しい理解につながり、日米安保の未来を考える確かな指針となる。
森本敏(拓殖大学)

資料:安倍内閣が提唱する積極的平和主義

「相互脆弱時代」の米・中・日関係
南シナ海・東シナ海で権勢を振るう中国の意図は?「覇権国」アメリカの本音は?アジア太平洋の新時代を展望する。
マイケル・オハンロン(ブルッキングス研究所)

米中協調を試す「損得表」と危機管理
円滑な国際関係は、適切な損得関係の噛み合わせから始まる。
二国間関係から、同盟を軸にした多国間関係まで、その設計と実践を考える。
ジェイムズ・スタインバーグ(元米国国務副長官)

TREND2015

イラン核合意がもたらした「副作用」に対応せよ
核疑惑から13年の月日を経て、一応の妥協を見たイランと米欧。イランの核兵器開発の可能性は大幅に減少したが、他方で制裁解除を勝ち取ったイランは、周辺国から新たな脅威として認識され始めている。
田中浩一郎(日本エネルギー経済研究所)

難民問題で垣間見る欧州連合の同床異夢
欧州統合を唱えたカレルギー伯の理想は、加盟国が手と手を携えて共に発展していく欧州連合の設立となって実現した。この理想郷は今、アフリカ、中東から押し寄せる難民問題に対して、一致協力することができなくなっている現実がある。
水鳥真美(セインズベリー日本藝術研究所統括所長)

テロの脅威におびえるフランス社会
1月のシャルリ・エブド紙のテロや、8月のアムステルダム・パリ間の超特急列車で起こった「未遂」事件は、日本でも大きく報道された。しかし、ここに記された事件の数々を見れば、フランスにおいて、テロはいまなお続く脅威であることがよくわかる。
山口昌子(ジャーナリスト)

島嶼国のリーダー目指す パプアニューギニアの成算
島嶼国最大の経済希望を誇るパプアニューギニア。国際的な存在感を向上させたいが、同時に中国の積極的な攻勢にもさらされる。わが国と島嶼国との関係も、新しいステージを考えるべきではないか。
千野恵子(ジャーナリスト)

台湾、香港の若者はなぜ「異議」を申し立てるのか
台湾、香港、マカオ、そして日本。学生たちが主導するデモが広がりを見せている。SNSや動画でつながる新しさと、独自のアイデンティティー確立を目指す古さ。中国と対峙する台湾・香港の運動を追った。
鈴木玲子(毎日新聞)

FOCUS
戦後70年談話を読む

8月14日に閣議決定、発表された内閣総理大臣談話は、「戦争の時代」と「戦後の歩み」を整理・総括し、未来に向けて、わが国の行動規範を示そうとした。関係国はどう受け取り、今後の外交はどうなるのか。

国益を見据えた妥協の効用 ―日米和解プロセスの示唆
歴史認識をめぐる和解には、万能薬も即効薬もない。しかし、打開のヒントは足もとにある。政治指導者が「国益」の観点から、被害と加害の恩讐を超えて同盟関係を結んだ日米和解のプロセスだ。政治のリーダーシップが問われている。
久保文明(東京大学)

日中関係 対抗から対話へ
「積極的平和主義」を掲げた安倍談話は、日中韓「和解のモデル」に沿うものか。将来の東アジアのあるべき姿と、新たな海洋秩序への、わが国の構想力が求められている。
毛里和子(早稲田大学)

規則的反応をみせた韓国社会 ―その意外と必然
安倍談話にもっとも批判的であろうと予想された韓国では、メディアの紋切り型の批判に対して、朴大統領は以外にも冷静な対応だった。その背景には、安倍談話の文言や背景に対する注意深い理解が見え隠れする。
小針進(静岡県立大学)

アジア「巨象と草」の戦後70年 ―ASEAN・東南アジアの視点から
戦後70年談話には、北東アジアの緊張が映されている。「多様性の統一」でつながる東南アジア諸国は、米中日対立構造への巻き込まれを強く警戒している。
黒柳米司(大東文化大学)

資料:戦後70年談話と各界のコメント

連載

巻頭インタビュー
正念場を迎えた「核なき世界」構想

ウイリアム・ペリー(元米国国防長官)

マンガをみれば世界がわかる
西川恵

海風陸風
中村仁(日本経済大学)

マーケットの眼
伊藤洋一

見出しで学ぶニュース英語
徳川家広

海風陸風
与那原恵(ノンフィクション作家)

キャリアの話を聞こう②
日本紛争予防センター理事長 瀬谷ルミ子

ブックレビュー
梶谷懐(神戸大学)

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