外交 Vol. 32

gaiko32cover150特集
戦後70年 歴史と外交

戦争の反省から国際貢献を考える      
あの戦争への確かな理解と反省なくして、国際社会の信頼を勝ち得ることはできない。他方で、安全保障面でのさらなる貢献を行うことも、歴史の重要な教訓である。
北岡伸一(国際大学学長)

戦後外交における歴史問題―「請求権」をめぐる攻防
繰り返し蒸し返される戦後補償問題。「解決済み」の枠組みが揺さぶられ、動く過程を、戦後日本外交史の視座から見通してみる。
波多野澄雄(筑波大学)

「慰安婦」から「戦時下の女性の人権」へ-韓国社会の変容と新たな歴史認識の模索
三年半の間首脳会談が行われず、冷え込んだままの日韓関係。その要因である「歴史問題」は、冷戦の終焉、韓国の成長と民主化を背景としている。問題の克服には、韓国社会の変容を受け止めつつ、議論の枠組みを大胆に設定し直す必要がある。
木宮正史(東京大学)

日中和解のパラドックス‐1955年と2015年を比較する
1955年、周恩来が説いた「和解」の思想は、日中国交正常化を支える背骨となった。
それから六〇年、変容した信頼関係をどう再構築すべきか。
楊大慶(ジョージワシントン大学)

日本のアジア復帰を促した日米同盟
日米同盟は、アメリカの冷戦戦略の一環として日本と東南アジアを結びつけ、
日本の生存確保と国際社会の復帰を導いた。その歴史的含意を考える。
マイケル・シャラー(アリゾナ大学)

異なる歴史観が混在する「親日」台湾の諸相
日本統治時代から国民党統治時代に移行した台湾。「親日」と理解される対日感情のメカニズムはどのように分析できるだろう。台湾人のもつ対日観を様々な角度から分析し、今後の日台関係を予測する。
若林正丈(早稲田大学)

良好な日比関係に潜む歴史のトゲ
戦後、フィリピン人が日本に抱いている複雑な思いには、日本人が知り得ない、アメリカとの関係が影を落としている。相互理解への過程をどう構築すべきか。
カロリーナ・G・ヘルナンデス(フィリピン大学)

資料 歴史問題に関する主な政府談話

TREND 2015

ネパール大地震・山間地域を救え!
ネパール大地震の瞬間に居合わせた野口健氏は、惨状を世界に伝えるだけではなく、長年のネパールとの交流を通じて、あるべき援助の姿を発信、行動している。日本は、世界は何をするべきか。
野口健(アルピニスト)

NPT再検討会議「失敗」の意味するもの
見るべき成果のなかったNPT再検討会議。中東の不安定性が増大し、アメリカとロシアが鋭く対立する中、「橋渡し役」としての日本の果たす役割は。
秋山信将(一橋大学)

アイデンティティーの時代を迎えた英国―総選挙予測「大外れ」の背景
保守党と労働党が大接戦、英国史上初めて、どちらも過半数を獲得できない「ハング・パーラメント(宙づり国会)」となるだろう―先の英国総選挙でマスメディアが報じた予想は大きく外れた。現地で取材に当たったジャーナリストが、英国政治の構造と選挙報道の両面から読み解く。
小倉孝保(毎日新聞)

価値再帰のG7にみる安倍対露「対話路線」の細道
ドイツ・エルマウで行われたG7サミットは、皮肉にもそこに不在のロシアや中国が主要テーマとなった。プーチン大統領の訪日など、対ロシア外交を進展させたい安倍政権にとっては、一つの試金石となる外交舞台となった。
中島健太郎(読売新聞)

世界的原油安の構造と影響
予想外の原油価格下落は、シェールオイルの増産とサウジアラビアの政策変更がもたらした。中国や欧州経済の行方など不透明な世界情勢の下、原油価格はどう動いていくのか。
小山堅(日本エネルギー経済研究所)

FOCUS
経済外交の新たな局面

メガFTA時代と日本の国際通商戦略
米議会で関連法案が通過、節目を迎えたTPP交渉。その原点であるWTOの枠組みを分析することによって、新たなルールの下での国際分業新時代を見通す。
木村福成(慶應義塾大学)

中国「シルクロード経済圏」の虚実
AIIB構想で「アジアの番長」を目指す中国。アジアやヨーロッパ諸国の思惑を取り込み、日・米と対峙する「真の狙い」とはなにか。
吉岡桂子(朝日新聞)

資料 アジアをめぐる貿易圏構想

ギリシャ危機の見通しを曇らせた「ユーロ圏」という蜃気楼
ギリシャ問題で揺れるユーロ。二〇〇一年のアルゼンチンの債務不履行と対比すれば、その構図はむしろありふれたものだ。危機の拡大の背景には、ユーロへの根拠なき信頼があった。
竹森俊平(慶應義塾大学)

紛争解決機関としてのWTO

連載

巻頭インタビュー
旧ユーゴ紛争から二〇年 
子どもたちに融和のためのスポーツアカデミーを

宮本恒靖(元サッカー日本代表)

マンガを見れば世界がわかる
西川恵

海風陸風
生井英考(立教大学)/吉見俊哉(東京大学)

外務省広報

マーケットの眼
伊藤洋一

見出しで学ぶニュース英語
徳川家広

キャリアの話を聞こう
国際連合広報センター所長 根本かおる

ブックレビュー
板橋拓己(成蹊大学)/新刊案内

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