Vol.83 Jan./Feb. 2024

Vol.83_Hyoshi特別対談
欧州・中東・インド太平洋で絡み合う国際秩序
当事者として「平和」の構築に挑む
上川陽子(外務大臣)
中西寛(京都大学)

特集◎2024年 選挙の罠

トランプ復活の影と国際秩序
今後の国際情勢を考える上で、最大の論点は今後の米国大統領選であろう。われわれはトランプ氏当選後のシナリオ-内向きで経済中心、予測可能性の低い政権がもたらす国際政治上の影響と、それへの対応を真剣に考える必要がある。
久保文明(防衛大学校)

座談会
国際秩序に背を向けた民主主義
        -世界関与への矜持と戦略を取り戻せるか
分断と対立の政治が常態化しつつある西側諸国は、長期的課題への対応力を失いつつある。ウクライナ支援の継続、戦争における情報戦、世界で広がる「民主主義」への挑戦など、中国との対抗も絡む諸課題に、どのような方向性を見出すべきか。
市原麻衣子(一橋大学)
小嶋華津子(慶應義塾大学)
鈴木早苗(東京大学)
東野篤子(筑波大学)
飯塚恵子(読売新聞)

挑戦を受ける選挙-社会の分裂と偽情報にどう立ち向かうか
情報戦を仕掛ける勢力は、選挙自体を攻撃しない。時間をかけ、相手国の「歴史的な亀裂」を刺激することで、国民の思考に影響を与え、社会の分裂を図る。サイバー攻撃と情報操作を組み合わせた攻撃には365日、24時間体制で対処する必要がある。
大澤淳(中曽根平和研究所)

選挙が蝕む民主主義
「民主主義の幸福感」は終焉を迎えるのか。選挙は対立を煽り、民主主義を切り崩す装置と化し、権威主義指導者の武器として機能してしまう。今年、「選挙」は世界の政治体制を揺るがすのか。世界の選挙を多角的な分析枠組みで総覧する。
東島雅昌(東京大学)

台湾総統選に見る中国の「影響力行使」
1月13日の台湾総統選挙・立法議員選挙において、中国の影響力行使はどれほど響いたのか。中華民国政府発足直後からの「浸透」の歴史と、「反浸透法」などの台湾の対抗策を概観する。民主主義社会の価値をいかに毀損せず防衛すべきか。
黄偉修(東京大学)

韓国総選挙の「論理」と日韓関係
4月の総選挙で尹政権「新外交」は争点にならないが、政権の業績評価は低迷を続けている。韓国世論の「保守・進歩」は、単純なイデオロギー対立ではなく、地域的支持層の違いや民主化の歴史に根ざす。これらを俯瞰すると、韓国政治の論理が浮かび上がる。
木宮正史(東京大学)

インド モディの権威主義革命-新しい暴力と「服従の政治」
モディ政権下で進行する「ヒンドゥー教至上主義」の政治。経済成長を志向しながら、ムスリムなど少数派を弾圧する「服従の政治」の論理と手法を明らかにするとともに、国際社会の黙認がもたらす影響を考察する。
中溝和弥(京都大学)

文化戦争としての「トランプ党」現象
      -共和党「対決の政治」の系譜

前回の敗北以降、共和党のトランプ支持はかえって熱を帯びてきた。リベラル優位の政治構造を崩したい共和党の政治戦略と、人口動態で「少数派」の向かう白人有権者の不安が重なり、再び大統領選に大きなうねりが起きようとしている。
前嶋和弘(上智大学)

ロシア 選択肢なき大統領選の閉塞感
三月のロシア大統領選はプーチン氏勝利が確定的だ、なぜロシアでかくも民主主義が交代したのか、24年間で大きく変わったプーチン氏の国家観・世界観と、一貫して進められた民主的選挙の形骸化プロセスを踏まえ、ロシア政治の隘路を描き出す。
駒木明義(朝日新聞)

ゼレンスキー政権が邁進する政治改革
ユーラシアにあって政治的競争性や多元性を維持し続けるウクライナ。ソ連末期を源流とする「半大統領制」の歴史的経緯を踏まえ、ゼレンスキー政権が進める汚職対策、政治下の大統領選など、現在の論点を読み解く。
松嵜英也(津田塾大学)

FOCUS◎ガザ紛争に出口はあるか

座談会
解けるか「戦争と平和の方程式」
池内恵(東京大学)
小野沢透(京都大学)
鈴木啓之(東京大学)

イスラエル「極右」とは何か-思想的ルーツとその現代的展開
ネタニヤフ政権の対ハマス強硬路線をリードする「極右」勢力。そのルーツとなる修正主義シオニズムの歴史的展開を踏まえ、3人のキーパーソン-ネタニヤフ、リーベルマン、カハネの政治観を読み解き、現在のガザ紛争への影響を展望する。
森まり子(跡見学園女子大学)

ハマス・ヒズボラ「抵抗の枢軸」-中東における親イラン勢力の成り立ちと動向
イラン革命以降、国際的孤立を深めたイランは、国外武装勢力の培養を国家安全保障の手段とした。ガザのハマス、レバノンのヒズボラはインフラを担い、それぞれの社会に浸透している「強み」を持つ。成り立ちと機能を読み解くことは今後を見通すカギだ。
溝淵正季(広島大学)

around the world

いきなり山場を迎えるアルゼンチン新政権
菊池啓一(ジェトロ・アジア研究所)

トレンド2024

財政から見た防衛政策-防衛力整備計画の実現性を問う
2023年末に策定された「戦略三文書」の明記された防衛費のGDP比2%への拡大に、財源面から批判や疑問が生じている。今後顕在化するリスクに対応できるか。論点を整理し、必要な取り組みを考える。
小木洋人(アジア・パシフィック・イニシアティブ)

気候変動は地政学リスクに-COP28の成果と課題
異常気象や自然災害を引き起こすだけでなく、経済や社会の不安定化、紛争にもつながりかねない。世界でそんな共通認識が持たれた今回のCOP28。現状の対策では間に合わないのは明らか。各国は利害を超えて立ち向かうことができるのか。
関山健(京都大学)

新型コロナ外交と「コロナ後」の国際保健外交戦略
世界で約700万人の命を奪った新型コロナ感染症。国際社会は、それとの苦闘の教訓を忘れてはいけない。コロナ禍における日本の国際保健外交を振り返り、その成果と教訓を明らかにしながら、次なる戦略を展望する。
赤堀毅(外務省)
江副聡(外務省)

追悼 ヘンリー・キッシンジャー元米国国務長官
「偉大な時代」を体現した「最後のアメリカ人」
村田晃嗣(同志社大学)

連載

駐日大使は語る10
外交とは「人と人」が紡ぐもの 活力あふれる日・スウェーデン関係
ペールエリック・ヘーグベリ(駐日スウェーデン大使)

特別連載◎証言 冷戦後の日本外交
日本外交の地平を広げる(下)-「自由で開かれたインド太平洋」を生み出した安倍戦略外交
谷内正太郎(元外務次官・元国家安全保障局長)
聞き手:山口航(帝京大学)

外交極秘解除文書⑭
冷戦後の外交ビジョン 国際協力構想はなぜ挫折したか-1988年竹下首相訪欧に見る日欧関係の限界
武田悠(広島市立大学)

外務省 国際問題プレゼンテーション・コンテスト
大学生が語る日ASEAN次の50年
受賞者インタビュー

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Book Review
高橋和宏(法政大学)

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編集後記

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