Vol.65 Jan./Feb. 2021

Vol65_Hyoushi巻頭対談 2021年の日本外交
ポスト・コロナを見据えた国際ルール作りを主導する
茂木敏充(外務大臣)
田中明彦(政策研究大学院大学学長)

特別インタビュー
新型コロナ制圧に何が必要か
   -不断のリスク判断、ワクチン、そして新しい国際協力

尾身 茂(新型コロナウイルス感染症対策分科会会長)
 
 
 

特集◎混迷の世界に曙光は差すか

座談会
「見えない脅威」とどう向き合うか-規範・技術・制度をめぐる国際秩序を考える
新型コロナと並行して、世界はさまざまな課題に直面している。バイデン政権はアメリカの「規範の力」を取り戻せるか。情報通信における中国企業の台頭の何が問題か。重要なのは「脅威」の実像を冷静に読み解くこと、そして自由主義社会自体の再生と再興だろう。
大庭三枝(神奈川大学)
河野憲治(NHK)
鈴木一人(東京大学)
細谷雄一(慶應義塾大学)

緊急寄稿 議事堂乱入が暴いた米社会に広がる「亀裂」
乱入事件で政治は「トランプ排除」に舵を切り、党利・党略をからめながらも復元力を見せる。だが事件は米社会のあらゆる分断を明るみにし、民主主義の価値観そのものを揺るがしている。米政治インサイダーの反応も交え今後を見通す。
渡辺将人(北海道大学)

バイデン大統領の外交戦略とリベラル国際秩序のゆくえ
バイデン政権のもとで何が変化し、継続するのか。アジア重視と大国間競争という礎石は継続する一方、同盟国との協働という姿勢は新政権で鮮明になるだろう。
ジョン・J・ハムレ(米戦略国際問題研究所)

バイデン「多様性政権」の実力
経済ポストに女性を終結、先住民や黒人の積極登用など多様性重視の布陣は、上院の優位を見極めて。外交・安保はオバマ政権の参謀再起用で手堅い布陣。一方で左派の勢いは制しながら路線対立は避けた。前政権の「”傷”」をいかに乗り越えるか、前途は多難だ。
菅野幹雄(日本経済新聞)

外交政策としての気候変動-バイデン政権下の日米同盟に不可欠な要素に
バイデン政権に最重要政策の一つである気候変動。環境問題の枠を超え、世界経済のルールメイク、さらに日米同盟のあり方に直結するこの問題に、日本はどこまで踏み出せるか。
ピート・オグデン(国連基金エネルギー・気候・環境担当)

「天安門文書」と日中外交の現在-公開された天安門事件関連文書が語るもの
天安門事件の際に、日本は「四つの要因」への配慮から中国へのソフトな対応に終始した。しかし、当時の日本政府が中国に寄せた期待とは裏腹に、中国共産党のガバナンスは毛沢東型へ回帰している。いま、日本は「助け船」を再び出すべきなのか。
阿南友亮(東北大学)

豪州 対中関係悪化の苦悩-主権維持と経済的利益の狭間で
豪中関係が悪化の一途をたどっている。相次ぐ輸入制限など中国の強硬措置に、豪州も一歩も引かない構えだが、対立が長期化すれば、経済的ダメージは大きい。豪州はインド太平洋諸国との連携に活路を見出す。
佐竹知彦(防衛研究所)

イラン核合意に立ち戻れるか
トランプ前大統領のイラン核合意離脱により、中東のパワーバランスは大きく変わってきた。バイデン新大統領は核合意への復帰を目指すが、その優先順位は高くない可能性がある。イラン核合意と中東情勢のゆくえを探る。
田中浩一郎(慶應義塾大学)

BREXITの「後始末」-英・EU間FTA交渉の妥結とその影響
年末、交渉期限ぎりぎりで妥結したFTA合意。英国が主権にこだわり、EUが」特別扱いを拒否した結果、交渉はどう決着したか。今後の英・EU関係や世界への影響はどうなる。
池本大輔(明治学院大学)

ポスト・メルケルに向け動き出したドイツ
次期CDU党首が決定、「メルケル後」が動き出す。コロナ禍でメルケル人気は高いが、政権基盤は脆弱だ。果たして、新党首は首相候補になれるのか。AfDの凋落や緑の党の台頭などの情勢のなか、ドイツ政治は民主主義価値に回帰していくのか。
森井裕一(東京大学)

エチオピア巨大ダム建設をめぐる流域の秩序変容
ナイル川上流にエチオピアが建設した巨大ダム。下流国の経済発展は、それまでナイル開発を牛耳ってきたエジプトの地域「覇権」を揺るがしている。
西舘康平(中東問題研究家)

コロナ時代のSDGs戦略-「持続可能性の危機」克服に向けた大胆なビジョンを
コロナ禍でSDGsの進捗は足踏みまたは後退している。だが、COVID-19とSDGsの各項目を照らし合わせれば「危機の時代の羅針盤」となる。SDGsは、保健のみならずガバナンスに至るまで、コロナと生きる世界の「マインドセット」となる。
稲場雅紀(SDGs市民ネットワーク)

特別インタビュー 2

安倍外交7年8ヵ月を語る(上)日本復活の礎となった日米同盟再強化
安倍晋三(前内閣総理大臣)

安倍外交7年8ヵ月を語る(中) 「自由で開かれたインド太平洋」にみる戦略的思考
安倍外交の特徴の一つは、2国間の問題を、常に戦略的な構図の中で捉えたことだろう。中国・韓国、ロシア、そして「自由で開かれたインド太平洋」-それはまさに「地球儀を俯瞰する外交」の内実をなす思考の実践である。
安倍晋三(前内閣総理大臣)
 

FOCUS◎コロナ危機克服の見取図

国際保健をめぐる新たな連帯へ-ユニバーサル・ヘルス・カバレッジとWHO改革
コロナが世界的に感染拡大するなか、特に途上国における保健・医療体制の脆弱性をいかに克服するかは、喫緊の課題である。ユニバーサル・ヘルス・カバレッジを基礎に置いた保険外交の着実な歩みと新しい試みを追う。
江副 聡(外務省)

問われるコロナワクチンの開発・供給・分配体制
異例の速さで承認され接種に進んだコロナワクチン。各国が特別プログラムで開発を促した結果だが、先進国と途上国間でのワクチン確保の格差、人々の接種意識向上など、世界的収束への「最適解」を導き出す、難しい舵取りは続く。
詫摩佳代(東京都立大学)

世界経済 ワクチン普及後も低成長のリスク
世界経済の回復は一筋縄ではいかない。ワクチン開発が進むとして、接種率は向上するか。すでに十分に傷ついている対面サービス産業に回復の力は残っているか。経済の回復には、冷静なリスク分析と国際社会の協力が不可欠だ。
伊藤さゆり(ニッセイ基礎研究所)

習近平政権「内向的グローバルパワー」への道(上)-「19期五中全会」で既定路線が固められる
注目の19期五中全会は、中・長期計画を掲げ、具体的な政策を決定する手堅いものに。決議の「言葉」を分析し、人事を確認することで、習近平体制の「強さ」と「密度」をみる。(外交Vol.64 掲載)
鈴木 隆(愛知県立大学)

習近平政権「内向的グローバルパワー」への道(下)-「一九期五中全会」で既定路線が固められる
一九期五中全会前後の地方人事を分析すると、習近平やその側近に近い人物で固められ、科学技術振興による技術覇権の進展と国民生活の向上や環境対応の充実が目を引く。長期的観点での国力強化志向が読み取れる。
鈴木 隆(愛知県立大学)

カンボジアにおける世界初のデジタル通貨導入戦略
昨年11月、カンボジアが世界に先駆け、中央銀行主導のデジタル通貨を正式に運用し始めた。背景には、自国通貨よりも米国ドルが流通する状況を変え、効果的な金融政策を遂行する狙いがあった。
相場大樹(国際協力機構)

メキシコ麻薬戦争長期化の構図-前国防相逮捕の衝撃
米国当局によるメキシコ前国防相の逮捕(後に起訴取り下げ)は、メキシコ麻薬カルテルと政治との結びつきを白日の下にさらした。背景となる麻薬カルテルの興亡と、それをもたらす複層的要因を読み解く。
馬場香織(北海道大学)

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上野友也(岐阜大学)
青木健太(中東調査会)

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