Vol.59, Jan./Feb. 2020

Vol.59_hyoushi

特別対談
2020年の日本外交
多角的国際秩序の紐帯たらん

米国と中国――ともに強大な国力を有し、時に一国主義的な行動に走る二つの大国を、いかに自由で安定した国際秩序にコミットさせるか。2020年の日本外交の舵取りを、茂木外務大臣に聞く。
茂木敏充(外務大臣)
田中明彦(政策研究大学院大学学長)

                                                                                   緊急企画◎臨界寸前の米・イラン危機

米・イラン軍事的緊張と核合意のゆくえ
イランの「報復」の後、緩んだかに見える緊張。しかし、軍事衝突の危機はいまだ去っておらず、発端となったイラン核合意をめぐる対立も、一向に解決する兆しは見えない。世界は米・イラン関係にどう対応すべきか。
出川展恒(NHK)

「自制ある緊張関係」にとどめる努力を
米イランの軍事的衝突の危機は、一時的には回避された。しかし不安定な情勢の中で、イランが「自制」をし続ける保証はない。
第五次中東戦争は回避できるか。中東にエネルギーを依存する日本がなすべきこととは。
齋木昭隆(中東調査会)

イランを知るための基礎知識
イラン情勢は予断を許さない。その独特の国家体制から米国との対立、中東への影響力に至るまで、イランとその行動原理を知るために必要な知識を、専門家に尋ねた。
青木健太(中東調査会)

特集◎トランプ外交は世界をどこに導くか

アメリカ外交の反国際主義は続くか
トランプ大統領が掲げる粗暴な「アメリカ第一主義」と、戦後に西側が主導した国際主義的秩序の行き詰まりで、いま世界は混沌としている。工業文明から情報文明の移行期に、私たちは新たな国際主義を構築できるか。
中西寛(京都大学)

長期化する米中対立がサプライチェーンに落とす影
「米中経済対立」は、世界貿易額の減少、製造拠点の移転やサプライチェーンの変容など、世界経済に大きな影響を与え続けている。5G技術など安全保障輸出管理の問題も絡んで、世界は「二つの経済圏」に分かれてしまうのか。
古城佳子(東京大学)

激化する戦略的競争下の核軍備管理-ポストINF時代をどう構想すべきか
INF条約破棄後の世界で核兵器は復権するか?多層化する軍事フィールドの中で核管理体制が危機に瀕する。
偶発的リスクも高まる中で、核軍備、通常兵器管理を含めた安定的戦略関係をどう再構築するか。
秋山信将(一橋大学)

いよいよスタート!Q&Aで読み解く2020年米国大統領選挙
世界中が注目する米国の大統領選挙。だが、その実態は意外とわからないもの。
本格的な選挙戦のスタートを前に、世界でもユニークな選挙の仕組みと実際を知ろう。
西山隆行(成蹊大学)

民主党有力候補の外交政策-バイデン氏とサンダース氏を中心に
四人にまとまってきた民主党大統領選挙候補者。外交では既存の国際秩序を重視する主流派の外交路線に加えて、アメリカ第一主義への反発もあり左派が優勢だが、「プログレッシブな外交」を掲げる勢力も力を伸ばす。
西住祐亮(中央大学)

アメリカに社会主義はない?-民主党の「左傾化」をどう考えるか
これまでアメリカ政治のメインストリームから排除されていた社会主義への許容度が上がっている。その背後でなにが起きているのか。トランプ大統領への不信感が引き起こしたねじれか、それとも深い変動の兆候なのか。
中山俊宏(慶應義塾大学)

around the world
COP25の成果と2030年目標への課題
亀山康子(国立環境研究所)

FOCUS◎米中競合で揺れるアジア

われわれの基本的価値を揺るがすな
「自由で開かれた社会」に挑戦する中国共産党に、いかに対抗するか――。現在の米中対立を理解するには、トランプ政権下で進む対中国認識の大転換を知る必要がある。同政権で国家安全保障担当補佐官を務めたマクマスター氏が語る、トランプ政権の本音とは。
ハーバート・R・マクマスター(ハドソン研究所)

北朝鮮との「第一段階」合意に潜む危険
進展しない北朝鮮の非核化交渉。米中貿易摩擦と同じように、米朝も「第一段階」の合意を模索する動きがあるが、それは北東アジアの安定に必ずしも寄与しないだろう。いまこそ日米韓の連携が問われている。
ヴィクター・チャ(戦略国際問題研究所)


金正恩の「正面突破戦」とは-朝鮮労働党中央委員会第七期第五期全員会議

膠着状態の交渉に業を煮やしたかのように、「新しい戦略兵器を目撃することになる」と言い放った金正恩委員長だが、実は、その軸足は経済的自立に置かれている。「正面突破戦」とはどんなメッセージなのか。
礒﨑敦仁(慶應義塾大学)

台湾海峡と香港をめぐる米中関係と日本外交
香港区議会議員選挙での民主派の大勝、台湾の蔡英文総統の史上最高得票の再選。中国の圧力と米国の支援の板挟みの両地域で起きているうねりに、米中両国はどう対応するのか。そして日本外交の課題は。
松田康博(東京大学)

台湾総統選・試される民主主義の成熟
「一国二制度拒否」が争点の選挙となり、国民党の失敗もあり圧勝した蔡英文総統。だが、内政改革路線は不人気、民進党の求心力も低下し、二期目の政権運営は前途多難だ。
福田円(法政大学)

米中対立が揺らすASEANの「天秤」-アジアは今、何を考えているのか
米中対立のなかで「味方」を求める中国は、ASEAN諸国との距離を縮めようとしている。アジアの国々の立ち位置を探り、日本も深くかかわる地域のメガFTA構想RCEPのゆくえを展望する。
吉岡桂子(朝日新聞)

保守党完勝とジョンソン首相の「薄氷」-総選挙で様変わりの英国政治
保守党が三〇年ぶりに完勝したイギリス総選挙。ジョンソン新首相の選挙戦略に対して、EU残留派は受け皿を作れず、労働党は選択肢を提供できなかった。ブレグジットとイギリス政治の今後はどうなる。
高安健将(成蹊大学)

変動するエチオピア政治-2020年5月総選挙を見据えて
一九九五年以降、民族を基盤とした「民族連邦制」を採用してきたエチオピアが、大きな転機を迎えている。ソマリアをはじめとして政情不安定な国家が多い北東アフリカで重きをなすエチオピアの動向は、今後の国際情勢にも大きな影響を与えよう。アビィ首相の舵取りに注目が集まる。※1
眞城百華(上智大学)
※1:本稿校了後、エチオピアの国家選挙管理委員会から、今年五月に予定されていた総選挙の日程変更案が発表された。
現時点では8月実施予定であるが、今後の情勢次第では変更もありうる。
これらの事情を鑑み、誌面上で総選挙の五月実施に言及した箇所は、今年実施予定である旨の記述に修正し、正確を期した。

アルゼンチン新政権の課題-債務問題と対米外交のゆくえ
ポピュリズムである「ペロニズム」の系譜にある新大統領。元大統領である副大統領との相性はどうか、債務問題でいかにIMFと折り合いをつけるか、ベネズエラ・ボリビアとの距離感をどうするか。その政権運営手腕が問われる。
阿部賢介(丸紅経済研究所)

追悼・中曽根康弘元首相-絶頂期の日本を体現した外政家
若月秀和(北海学園大学)

追悼・中村哲氏 砂漠を緑の大地に。ひとりの医師が成し遂げた「命の事業」
中原正孝(元国際協力機構南アジア部長)

連載

数字が語る世界経済 22
伊藤さゆり(ニッセイ基礎研究所)

外交最前線13 アシモ、キャプテン翼、ゴルゴ13
ソフト・パワーが紡ぐ「共感」を求めて-パブリック・ディプロマシーの現場から
江端康行(在ブルガリア大使館)

ブックレビュー
梶谷懐(神戸大学)

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編集後記
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