Vol.51 Sep./Oct. 2018

Vol.51_Gaiko_Hyoushi巻頭インタビュー
日米貿易交渉は二国間FTAも有りうべし
エリック・ガルセッティ(米ロサンゼルス市長)

特集◎パブリック・ディプロマシーの最前線
日本外交は普遍性を語れるか―パブリック・ディプロマシー戦略の再構築へ
リベラル国際秩序が揺らぐなか、日本のパブリック・ディプロマシーは文化的特殊性に依存するだけでは不十分だ。外交空間が「交渉の技術」から「課題設定・規範形成」へと拡大する現在にふさわしい、新たな指針を提示する。
渡辺靖(慶應義塾大学)

 
HLABが取り組む寮生活を基点とした「教育×外交」
ハーバード大の寮生活で、自分を投影できる身近な存在から受けたさまざまな刺激や学び。
その経験を日本に持ち込んだ小林氏の取り組みは、民間外交そのものであり、挑戦でもある。
小林亮介(HLAB代表理事)

ジャパン・ハウスってなに?-発信の戦略と手法
日本の魅力を世界に向けて発信する拠点として、サンパウロ、ロンドン、ロサンゼルスの三都市にジャパン・ハウスが開館した。
総合プロデューサーを務める原氏に、その意義と戦略を問う。
原研哉(ジャパン・ハウス総合プロデューサー)

中国で「動漫」になった日本アニメ―日本ポップカルチャーの受容から世界競争時代へ
『鉄腕アトム』のテレビアニメを皮切りに中国の子どもたちを釘付けにした日本アニメ。ネット社会の到来は新たな熱狂を生みつつ、世界のコンテンツが競争する巨大市場を育てた。中国社会における日本文化の受容の経過を追う。
古市雅子(北京大学)

ワシントン「広報文化外交」の舞台裏-世界は水面下で闘っている
ワシントンの春を彩る桜祭り。なんと、裏では日中韓の熾烈な宣伝合戦が。
アメリカのシンクタンクにおける各国の宣伝攻勢をつぶさに見た筆者が、日本の広報文化外交のこれからを考察する。
横江公美(東洋大学)

慰安婦問題の論じ方
日韓合意後も収束を見ない慰安婦問題。そこには、歴史認識と日本の責任について、日本国内の認識と韓国など関係国や国際社会との認識のずれがある。これらを踏まえ、どう対応・主張すべきか。
熊谷奈緒子(国際大学)

ジャポニスム2018 世界はふたたび日本文化に驚くか
「世界にまだ知られていない日本文化の魅力」を紹介する「ジャポニスム2018」。
展覧会や舞台公演を約八ヵ月間にわたり展開する、かつてない規模の日本文化の祭典が世界に伝えたいメッセージとは。
小林 忠(岡田美術館館長)

トレンド2018

習政権の権力基盤をめぐる「ざわめき」—党大会から一年、米中通商摩擦などの影響は
対米通商摩擦が厳しくなる中、秘密のベールに包まれているように見える習国家主席の権力基盤に関する噂が流れている。
その権力構造と制度の積み重ねを分析すれば、二期目丸一年の、政権の「強さ」がわかる。
加茂具樹(在香港日本国総領事館領事)

バンサモロ基本法の成立とミンダナオ和平国際協力機構
フィリピン政府とモロ・イスラム解放戦線の包括和平合意による「バンサモロ基本法」成立で、ミンダナオ和平は大きく前進した。五〇年に及ぶ武力闘争から和平へ、その過程には日本による地道な働きかけもあった。
落合直之(JICA)

カンボジア総選挙とフンセン政権の今後
民主化以来三〇年にわたり実権を握り続けるフンセン政権が、七月の総選挙で勝利した。
社会構造の変化で国民の離反も見られる中、長期政権は強権政治色を強め、最近は中国へと傾斜している。
篠原勝弘(元駐カンボジア大使)

米国のイラン核合意離脱とその後の世界
トランプ政権のイラン核合意からの離脱、そしてイランへの制裁が、世界に波紋を広げている。
苦境に立つイランと関係各国の対応を概観し、制裁のゆくえと中東情勢の変化を探る。
田中浩一郎(慶應義塾大学)

トランプ-共和党関係を左右する米中間選挙
トランプ政権発足以来、大統領と議会共和党は、対立しながらも一定の協調関係を築いている。しかし今秋の中間選挙の結果次第では、この構図は大きく変わる。過去一年半の両者の関係を振り返りながら、今後の展望を示す。
ロバート・トムキン(コングレッショナル・クォータリー誌)

治安と汚職が争点のメキシコ大統領選挙
麻薬と汚職の蔓延に嫌気したメキシコ国民は、左派政党のオブラドール氏を大統領に選んだ。ポピュリストともいわれた同氏だが、近年、穏健的な軌道修正がみられる。対トランプ政権など内外の課題にどう取り組むか。
馬場香織(北海道大学)

追悼 コフィ・アナン元国連事務総長 安保理改革に心砕いた人生
大島賢三(元国連大使)

FOCUS◎「プーチンのロシア」再考

座談会・視界不良の「ポスト・プーチン」体制
今年春、プーチン大統領は四期目の大統領就任を果たした。好調な経済と強力な権力構造は一見盤石に見えるが、外交、内政、経済のいずれの面でも困難な課題を抱えている。識者三名がプーチン体制の中間評価と今後の展望を示す。
駒木明義(朝日新聞)
大串敦(慶應義塾大学)
金野雄五(みずほ総合研究所)

次期大統領を狙うキーパーソンたち
ロシア大統領の任期は六年。二〇二四年に「ポスト・プーチン」をうかがう有力者を紹介し、ロシア政治の今後のシナリオを描き出す。
名越健郎(拓殖大学)

ポスト〈新START〉の軍事戦略
米ロ間で二〇一〇年代の戦略兵器削減を定めた新START。両国はおおむね戦略削減を遵守したが、戦略核バランスに危機感を持つロシアにとっての新STARTの意義とは。それを検証することで、ロシア軍事戦略のタテマエとホンネを見る。
小泉 悠(未来工学研究所)

安全保障から見た日ロ関係の現状と展望
北方領土で軍事拡張を進めるロシア。プーチン大統領の「平和条約締結」発言もあり、日本との関係改善はもう考えていないのか。だが、中国の台頭による「反米親中」路線の修正がロシアの狙いだとすると、構図は変わってくる。その安全保障認識から「真意」を探る。
兵頭慎治(防衛研究所)

連載

数字が語る世界経済
伊藤さゆり(ニッセイ基礎研究所)

ゴルゴ13が教える海外安全対策

アラウンド・ザ・ワールド

中国の対アフリカ外交攻勢
松本はる香(ジェトロ・アジア経済研究所)

突然の首相交代揺れる“南半球の盟主”オーストラリア
小宮理沙(NHK)

エチオピア・エリトリアの関係改善は今後も続く
関 隆夫(ジェトロ)

キャリアの話を聞こう
ワシントンで考えた「女性と仕事」―通訳として、大使夫人として

通訳として第一線で活躍する一方、駐米大使夫人としてワシントンで「ノブコ・フォーラム」を立ち上げるなど、独自の活動が注目された佐々江信子氏が、仕事への思い、そしてワシントンでの挑戦の意義などを語る。
佐々江信子(同時通訳者)

外交最前線7
北朝鮮弾道ミサイルとICAO——非常事態対応をリードした日本外交
度重なるミサイル発射実験に対し、ICAOは民間航空の安全を守る立場から北朝鮮を強く非難する理事会決定を行った。
国連専門機関を舞台とする日本外交の教訓は。
松居眞司(ICAO日本政府代表部)

ブックレビュー
梶谷懐(神戸大学)

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