Vol.47 Jan. / Feb. 2018

Vol47_表紙3巻頭インタビュー                                 English
「二〇一八年日本外交の展望 北朝鮮への圧力を続けて非核化を迫る」
河野太郎(外務大臣)

特集◎2018年 世界と日本を展望する

座談会
北東アジア安定のカギを握る日米韓協調―朝鮮半島情勢をめぐる政治力学

核・ミサイル開発を進める北朝鮮に対し、国際社会は圧力をかけ続けるが、いまだ道半ばだ。
各国の思惑を読み解きながら、非核化に向けた戦略を考える。
岩﨑茂(前統合幕僚長)
木宮正史(東京大学)
森聡(法政大学)

金正恩「新年の辞」を読み解く
金正恩委員長の新年メッセージは、予想通り「核の威力誇示」の一方で韓国への対話のよびかけと国内向けの経済重視政策が目を引く。どんな「舵取り」の方向性が見えるのか。
礒﨑敦仁(慶應義塾大学)

「自由で開かれたインド太平洋戦略」の射程
「インド太平洋」。それは世界経済の長い展開の歴史から浮かび上がった地域概念であり、決して中国対抗のためのコンセプトではない。インドやサブサハラアフリカでの強靭な広域・多角的外交が、日本に求められる。
田中明彦(政策研究大学院大学)

中国大国外交の「硬」と「軟」
中国の台頭と米国の漂流-。アジア秩序変化の中心にあって「強国・強軍の夢」を憚りなく語る中国。
朝鮮半島情勢と「一帯一路」を切り口に多様な中国外交の顔を読み解く。
小原雅博(東京大学)

トランプ外交二年目の課題―変わり続けるその戦略と体制
政権二年目を目前に発表された米国国家安全保障戦略。だが大統領ツイートの振れ幅は依然大きい。トランプ・マネジメントからその理由を探り、入れ替わり続ける外交・安全保障担当スタッフの顔ぶれから二年目の外交と重点戦略を展望する。
小谷哲男(日本国際問題研究所)

金融緩和-日米欧の出口戦略—利上げに向かう世界の金融市場と日銀の対応
中国が保有を減らした米国債の行く先は——。各国政府と中央銀行、そして投資家の「疑心暗鬼」は、新たなバブルの水域へ。
FRB、ECBや各国中銀の動きを追い、二〇一八年の世界と日本の金融天気図を描く。
滝田洋一(日本経済新聞)

トレンド2018

日韓慰安婦合意・文大統領の「矛盾」と「成算」—「合意検証報告」と「大統領声明」を検証する
「合意検証報告」の発表で韓国世論は沸騰した。文大統領の「声明」、年明けの「政府方針」で日韓関係は進むも退くも難しくなった。浮かび上るのは文大統領の場当たり的な対応だが、高支持率を背景に余裕も見える。今後の展開は。
中島健太郎(読売新聞)

ミャンマー民主化の真価を問うヒンギャ問題
国際社会の非難高まる「ロヒンギャ問題」。台頭するミャンマー国内のナショナリズムや中国や日米のアジア戦略の重なり、スー・チー氏への対応など難題が絡み合う中、解決への方向性を導き出すことが急務だ。
道傳愛子(NHK)

膠着するイスラエル・パレスチナ和平交渉―過去の交渉経緯を読み解き、未来を見通す
「エルサレムはイスラエルの首都」。トランプ大統領の宣言で袋小路に入ったかに見えるイスラエル・パレスチナ和平交渉。
過去からトランプ政権下の現在に至る交渉経緯を確認しよう。
江崎智絵(防衛大学校)

ジンバブエ再生への道程——「ムガベ後」の政治力学
三七年にわたり権力の座にあったムガベ前大統領。その独裁者が退場して、ジンバブエはどう変わるのか。
政治における対立軸を読み解きながら、国家再生の可能性を読み解く。
峯陽一(同志社大学)

難民危機における人道パートナーシップ—UNHCRと日本
世界各地で難民への援助を行うUNHCR。負の連鎖を断つには、難民保護のみならず未来につながる教育などの施策が必要だ。数々の困難をどう乗り越えるか、日本のさらなる貢献の手段は。
ダーク・ヘベカー(UNHCR駐日事務所長)

特集◎2018年 世界と日本を展望する 2

「新大国」インド外交と南アジア国際秩序
二〇一九年の総選挙で二期目をうかがうモディ首相は、近隣外交を重視し、隣接する中国の覇権主義に警戒しながら実利が取れる外交戦略を展開する。日本との関係を含め、インド外交戦略を俯瞰する。
竹内幸史(ジャーナリスト)

プーチン大統領「再選」にみるロシアの閉塞感
三月に大統領選挙を控えるロシア。プーチン氏の再選は確実だが、ナショナリズムとポピュリズムに頼る彼の政治手法からは、再強国化への展望がみえてこない。
横手慎二(慶應義塾大学)

東欧の反リベラル同盟とEUの将来-深まる東西対立と「メルケル後」の行方
ポーランド、ハンガリー、チェコ。これら中東欧諸国での「反リベラル化」は、経済危機や格差を引き金に、強権的でもグローバル強国でありたいとの思いが背景にある。西欧対東欧の対立はさらに激化するのか。
石合力(朝日新聞)

アフリカ開発と日本外交—第七回アフリカ開発会議(TICAD VII)に向けて
二〇一六年、アフリカ初開催のTICADⅥ。昨年はフォローアップ閣僚会合も行われた。一九年の横浜開催に向けた課題は何か。開発、経済成長、治安や紛争対応などの課題の洗い出しと問題の整理を試みる。
遠藤貢(東京大学)

苦悩する中南米の左派政権—ポピュリズム、キューバ革命から退潮までの一世紀
中南米の左派は、国家形態と裏腹の存在。資本主義や生産手段、貿易の発達形態の違いが大衆的基盤政党からキューバ型革命政党まで時代ごとに異なる顔を生んできた。その興隆から退潮までを大きく俯瞰する。
村上勇介(京都大学)

歴史研究と外交—「データベース日本外交史」の試み
歴史文書の公開で戦後日本外交の姿が明らかになる。これらの資料を整理、意味づけし、検索可能にするデータベースを、筆者らが構築している「データベース日本外交史」をはじめ紹介。外交史料の“森”で、歴史の「視座」を得よう
高橋和宏(防衛大学校)

連載

数字が語る世界経済
伊藤さゆり(ニッセイ基礎研究所)

アラウンド・ザ・ワールド
ネパール総選挙 「安定と繁栄」への期待
藤倉達郎(京都大学)

イラン反政府デモの深層
鈴木 均(ジェトロ・アジア経済研究所)

外交最前線
MIRAIプログラム
渡邉朱里(在英国日本大使館)

日本の未来を支える青少年交流
深堀裕賢(外務省)

キャリアの話を聞こう
隈部兼作(株式会社ロシア・ユーラシア政治経済ビジネス研究所)

ブックレビュー
梶谷懐(神戸大学)