Vol.46 Nov./Dec. 2017

Vol.46_表紙1巻頭インタビュー                                    English
国交正常化45年 日中協調の道を展望する
高村正彦(自民党副総裁)

特集◎第2期習体制の中国を読み解く

習近平「一強」への軌跡
胡錦涛と江沢民、両実力者の院政の下にあった習近平総書記は、なぜここまでのし上がれたのか。腐敗撲滅を旗印に、政敵を倒してきた経緯と自らへの権力集中への手法を振り返り、その「力の源泉」をさぐる。
興梠一郎(神田外語大学)

※お詫びと訂正 発売中の『外交』vol.46誌面16ページ上段13行目に、編集部のミスで以下のような誤りが
ありました。読者の皆様および筆者にお詫び申し上げますとともに、下記のように訂正いたします。
(誤)全国人民代表者会議
(正)全国人民代表大会

最高指導部 政治局常務委員の横顔
10月25日に発足した、第2次習近平指導部。世界の注目が集まった最高指導部・中国共産党政治局常務委員の人選は、異例の「後継者なし」で行われた。「一強」と言われる二期目の習体制はどこへ向かうか。常務委員七人のプロフィールを確認してみよう。
李昊(東京大学大学院)

第二期習近平政権の対外政策—理念と現実のあいだ
建国来の外交原則を包摂しながら、時代に即して位置づけ直す、中国外交の思考のダイナミズムを読み解くとともに、新理念が描く世界像と、現実との間に生ずる課題を明らかにする。
川島 真(東京大学)

「世界一流」を目指す人民解放軍―その戦略、実力、政軍関係
「新時代の強軍目標」と習近平総書記が掲げた中国軍強化の方策は、装備近代化のみならず指揮権限の集中化から管理権限の分離まで組織改革にも及んでいる。その全貌を明らかにし、東アジアの安全保障に及ぼす影響を考える。
飯田将史(防衛省防衛研究所)

米中首脳会談 盛宴後の厳しい現実
和やかな雰囲気で終わった米中首脳会談だが、友好的なムードが壊れるのはそれほど先ではないだろう。
北朝鮮、南シナ海、貿易摩擦……いずれも中国のビヘイビアを変えるには至っていないのが現実だ。
ボニー・グレイザー(CSIS)

中国の「二つの顔」に戸惑う東南アジア
経済的恩恵のみを享受するには、東南アジアは中国に近すぎる。ビジネスでも外交・安全保障でもしばしば中国の「別の顔」と向き合わねばならない東南アジア諸国の葛藤を描く。
アイリーン・バビエラ(フィリピン大学)

国家モデルをめぐる米中競争の時代
日々の株価やGDPからは、中国経済の実態が把握できない。そして、中国経済の観察だけでは中国の全体像が見えない。党大会における政治演説を鍵に習総書記の思考の枠組みを明らかにし、欧米とは一線を画した中国の挑戦の全体像を考察する。
呉軍華(日本総合研究所)

アリババがつくる巨大プラットフォーム経済—「情報の非対称性がない」ビッグデータ社会のゆくえ
中国経済の勢いを象徴するプラットフォーム経済。「アリペイ」の誕生と成長を追うことで、制度や社会資本の未熟を埋めてなおかつ高い成長を実現させる「強み」を中国ミクロ経済から探る。
渡邉真理子(学習院大学)

トレンド2017

トランプ大統領東アジア歴訪それぞれの「成功」—日本・韓国・中国訪問の成果と課題
「歴史的な長期外遊」 そんな触れ込みでの東アジア訪問は、日中韓首脳の対応がそれぞれ際立った。
大統領の満足げな表情とは裏腹の「複雑な事情」を、同行取材から描き出す。
田中正良(NHK)

「M&M(マクロン・メルケル)」時代の欧州—独仏主導のEUを展望する
フランス・ドイツの選挙をうけ、メルケル・マクロン両首脳にEUのリーダーシップは託された。「独仏モーター」を立て直したマクロン大統領は、どんな哲学でヨーロッパ構想を組み立てているのか。新たな「M &M 時代」の方向性を占う。
川嶋周一(明治大学)

「ドイツのための選択肢」が戦後レジームに突きつけたもの
九四議席を獲得し連邦議会に進出したAfD。極右政党初の議会進出に衝撃は世界に広がった。だがAfDは穏健な性格も持ち、国民の不満をうまく支持につなげた側面もある。ポピュリズム政党の実像を描き、今後を占う。
花田吉隆(元在フランクフルト総領事)

カタルーニャ独立問題とアイデンティティの諸相
地域主義を禁じたフランコ独裁政権から二〇〇六年の自治憲章改定問題まで、カタルーニャ問題は、単に民族独立問題とは言えない複雑な様相を呈している。その政治と歴史を総覧して、問題の俯瞰を試みる。
武藤 祥(関西学院大学)

※お詫びと訂正 発売中の『外交』vol.46誌面91ページ上段後ろから4行目に、校正ミスで以下のような誤りがありました。
 当該の方と読者の皆様にお詫び申し上げますとともに、下記のように訂正いたします。
(誤)八嶋由香里
(正)八嶋由香利

議員交流の効用―対話で導く諸外国との信頼醸成
外交を担うのは政府だけではない。多元的な人的交流の意義が高まる時代において、立法府の議員交流を舞台裏で担った新美氏が、その役割と実態を明らかにする。
新美潤(駐ポルトガル大使)

外交最前線
救出作業で感じた被災地との連帯—メキシコ中部地震と国際緊急援助隊

九月二〇日にメキシコ中部で発生した大地震。日本からも国際緊急援助隊の救助チームが派遣された。
団長を務めた川﨑氏が被災地への思いと、日本の果たした役割を語る。
川﨑敏秀(外務省)

FOCUS◎変わる中東の勢力地図

座談会:「ポストISIL」に潜む新たな混迷—流動化するシリア情勢を展望する
「首都」ラッカが陥落し、シリアにおけるISILの領域的支配は終焉を迎えつつある。
しかしISILの退場が情勢の改善に結び付かないのが、この地域の難しさだ。
四人の専門家が、域外国も交えた複雑な連立方程式を解きほぐす。
池内 恵(東京大学)
今井宏平(アジア経済研究所地域研究センター)
田中浩一郎(慶應義塾大学)
岡 浩(外務省)

サウジアラビア「汚職摘発」の波紋—透明性の向上か、勢力固めか
未来ビジョンと連動するかに見える一方、ムハンマド皇太子の権力基盤を固める道具と化した感もある汚職摘発の動き。
社会・経済の自由化と裏腹の強権的施策の背景をさぐる。
辻上奈美江(東京大学)

連載企画

B to D (Business to Diplomacy) Strategy
二〇二〇年へのインバウンド戦略—成功のカギをにぎる旅客業界のコラボレーション

外交とビジネスは密接に結びつき、さまざまな相互作用をもたらす。その広がりと最先端を探る第二回は、東京オリンピック・パラリンピックに向けた観光戦略と航空業界の可能性を考える。
片野坂真哉(ANAホールディングス社長)

数字が語る世界経済 伊藤信悟

Around the world
ニュージーランド総選挙 アーデーン新首相の多難な船出
永野隆行(獨協大学)

NAFTA再交渉は不調時間のかかる展開に
山田良平(三井物産戦略研究所)

キャリアの話を聞こう
丹羽恵玲奈(東京都政策企画局)

ブックレビュー
板橋拓己(成蹊大学)

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