Vol.37 May 2016

外交web用表紙巻頭インタビュー                                   English
世界経済の発展を牽引する自由貿易体制        
チャールズ・D・レイクⅡ
(アフラック・インターナショナル取締役社長)

特集◎アメリカ大統領選挙の行方

トランプ現象の破壊性と必然性
久保文明(東京大学)
選挙の盛り上げ役から主役に躍り出たトランプ氏。「モンスター」になりかねないその実像を、政党の組織構造と政治文化から考える。

鼎談
日米同盟「再選択」のとき
中山俊宏(慶應義塾大学)
田中淳子(NHK)
和田幸浩(外務省)

トランプ氏の外交に関する発言が、日本をはじめ、アメリカの同盟国を困惑させている。しかしそれは、日米同盟の機能を再確認するよい機会かもしれない。選挙戦をめぐる国内情勢、アメリカ外交の構造変化を踏まえ、改めて日米同盟を「選びなおす」プロセスを始めたい。

米大統領選挙Q&A 選挙からみえるアメリカの変化
前嶋和弘(上智大学)
きわめて長期にわたる選挙戦、複雑な候補者選定のプロセス、目まぐるしく変わる情勢……。大統領選挙を深掘りして解説します。

共和党ポール・ライアン下院議長の苦悩
及川正也(毎日新聞)
共和党のまとめ役、下院議長のポール・ライアン氏。次世代共和党のエースは、政策的違いの大きいトランプ氏とどう折り合いをつけるか。

トランプ・サンダースに連なる
                         アメリカ政界アウトサイダーの系譜

西川賢(津田塾大学)
大統領選挙においてアウトサイダーは目新しい存在ではなく、二大政党主流派への不満を吸収する極として機能してきた。その歴史をたどり、トランプとサンダースの特異点=今のアメリカ政治のねじれを浮き彫りにする。

未完の大統領バラック・オバマの「遺産」
ドイル・マクマナス(ロサンゼルス・タイムズ)
「今日、我々が直面している難問は現実である」就任演説で、バラック・オバマはこう呼びかけた。理想と野心をもち、大統領になった男の遺したものは。世界に渦巻く「失望」は彼のせいか?そして「次を担う者」は、何に直面するのだろうか?

TREND 2016

オバマ広島訪問を導いたG7外相会合
                       —関係者の思いが進めた「未来志向」

木下聡(読売新聞)
G7広島外相会合を機に実現したケリー国務長官の平和記念公園の訪問。岸田外務大臣や被爆者などさまざまな立場の人々の強い思いは、オバマ大統領の訪問に結実した。その動きをドキュメントする。

揺れる地域大国ブラジル
         —民主化三〇年、混迷する政治にどう向き合うか

子安昭子(上智大学)
汚職疑惑と議会未承認の予算執行で弾劾の瀬戸際に立たされるルセフ大統領。比較的堅調に経済成長してきたブラジルに何が起こっているのか。最近三〇年の時間の流れから見きわめる。

「チーム・スーチー」内閣の始動
                            —ミャンマー新政権の人事と政策

工藤年博(政策研究大学院大学)
アウンサンスーチー氏が国家顧問に就任した。大統領を動かす権限を持つことで、スーチー氏の統治能力が試される。そこでティンチョー大統領と閣僚の顔ぶれを詳細に分析し、ミャンマーの統治の将来像を導き出してみよう。

高倉健と中国人
                 —日本映画とスター、その受容の歴史

劉文兵(早稲田大学)
高倉健はなぜ、中国国民から絶大な支持を得られたのか。それは、戦後日本映画受容と中国社会の変化が交わる点で起こった「奇跡」だった。豊かさを増す中国に、「第二の高倉健」は現れるのか。

途上国の経験を日本に生かす
                   —青年海外協力隊、次の半世紀に向けて

小川登志夫(国際協力機構青年海外協力隊)
昨年、五〇周年を迎えた青年海外協力隊。半世紀の成果は、途上国発展への寄与や相互理解に留まらない。現場で培った経験・知見で日本の「地域創生」を担う――。そんな、新たな人材還流の試みが始まっている。

FOCUS◎中東動乱の位相

中東にみる「国民国家」再編の射程
        —サイクス・ピコ協定から一〇〇年の歴史的位相

池内恵(東京大学)
混沌とする中東情勢、なかでも長期化するシリア内戦の行方は、いまだ見えない。中東における国民国家そのものを問い直すような、シリア危機の深淵を考察する。

「イスラーム国」はいつまで持続するか?
髙岡豊(中東調査会)
アフガニスタンに生まれたジハード運動は、イラクに広がり、「イスラーム国」となり、「アラブの春」でシリアに根を下ろした。その系譜をたどり、シリア紛争の今後を透かして見る。

トルコ「安定化」へのシナリオ
  —治安の回復・シリアでの権益確保・大統領制の実現

今井宏平(日本貿易振興機構アジア経済研究所)
過激派クルド勢力やISによるテロを国内にかかえシリア内戦とロシア軍撃墜問題で正念場を迎えるトルコ。総選挙で安定多数を獲得したエルドアン大統領は政権基盤の強化を目指すが。

連載

around the world 新連載
小林恭子(在英ジャーナリスト)
国際都市ロンドン市民の選択 カーン市長とはどんな人物か

仏社会党よ、どこへ行く
山口昌子(在仏ジャーナリスト)

先代と一線画した第7回朝鮮労働党大会
礒㟢敦仁(慶應義塾大学)

コンパドレ(義兄弟) ドゥテルテ比新大統領のこと
三宅光(マニラ新聞)

放置許されぬパレスチナ―映画『オマールの壁』によせて
長谷川健司(共同通信)

数字で読む世界経済
伊藤さゆり(ニッセイ基礎研究所)

ゲンシャー元ドイツ外相を悼む
板橋拓己(成蹊大学)

海風陸風
阿部信泰(国連大学前理事)

ブックレビュー
梶谷懐(神戸大学)

キャリアの話を聞こう
田瀬和夫(デロイトトーマツ)

INFORMATION

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